パナソニックの電動工具はどうなる?マキタへの移管が2026年9月1日に完了

電動工具の事業移管を表すフラットイラスト。六角ビットホルダーを備えた充電インパクトドライバーと「電動工具 事業移管」の見出し

パナソニックの電動工具事業のマキタへの移管は、2026年9月1日に手続き(クロージング)が完了しました。2026年3月24日の株式譲渡契約から約5か月、当初予定どおり2026年度中に完了しています。事業を引き継いだ承継会社は同日付で株式会社マキタ・インダストリアルツールズへ商号変更されました。パナソニックブランドの電動工具そのものは、販売終了のアナウンスが出ておらず通常どおり流通しています。

この記事のポイント
  • ✓ 2026年3月24日に株式譲渡契約を締結、3月31日に両社が同日公表
  • ✓ スキームは「会社分割で承継会社を新設 → その全株式をマキタが取得」
  • ✓ 2026年9月1日にクロージング完了。承継会社の全株式がマキタへ渡った
  • ✓ 承継会社は同日「株式会社マキタ・インダストリアルツールズ」へ商号変更(旧:ネクセラフィールドワークス)
  • ✓ 保証・修理・電池供給の個別の扱いは両社とも未発表(2026年9月6日時点)

※本ページの内容は 2026年9月6日時点の、パナソニック/マキタ両社の公式発表にもとづいて整理しています。

目次

何が決まったのか(2026年3月31日発表の要点)

項目公式発表の内容
公表日2026年3月31日(パナソニック・マキタ 同日発表)
契約締結日2026年3月24日(株式譲渡契約)
譲渡元パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社(PEW)およびグループ会社
取得者株式会社マキタおよびグループ会社
対象事業パワーツール製品(工場および建築向け締付機器、工場関連IoTソリューション等)の開発・製造・販売
対象地域日本および海外
スキームPEWが吸収分割により承継会社を新設 → その発行済株式の全てをマキタが取得。海外拠点は事業譲渡等の方法で取得
実行時期2026年度中(予定)
前提条件関係当局の承認取得等
図1|事業移管のスキーム(両社リリースをもとに作図)
パナソニックEW社 電動工具事業 (資産・契約・従業員) 会社分割 承継会社(新設) 電動工具事業を承継 2026年度中に新設予定 全株式譲渡 株式会社マキタ 承継会社を100%取得 海外拠点は事業譲渡等 契約締結 2026年3月24日 / 公表 2026年3月31日 / 実行 2026年度中(予定) ※実行は関係当局の承認取得等が前提 出典:パナソニック/マキタ 各公式リリース(2026年3月31日)

ポイントは「事業ごと引き継ぐ」形だという点です。PEWのリリースには「事業運営に必要な資産・契約・従業員などは、承継会社へ移管します」と明記されており、単なる生産終了・撤退とは性質が異なります。

図解:移管手続きの3ステップと現在地

✓2026年3月24日
株式譲渡契約を締結
パナソニック エレクトリックワークスとマキタが契約。3月31日に両社が公表した。
✓2026年4月
承継会社を新設
事業運営に必要な資産・契約・従業員を移す受け皿として、ネクセラフィールドワークス株式会社を設立。
✓2026年9月1日
クロージング完了・商号変更
承継会社の発行済株式の全てがマキタへ。同日「株式会社マキタ・インダストリアルツールズ」へ商号変更。海外関係会社の製造・販売機能の一部も移管。
⚠ ここまでが公式に確認できる範囲です。保証・修理受付の窓口、交換用バッテリーの供給期間、既存の型番がいつまで生産されるかについては、移管完了後の2026年9月6日時点でも両社から個別の発表がありません。

出典:パナソニック「電動工具事業の事業移管について」(2026年3月31日)/同「電動工具事業の事業移管手続き完了に関するお知らせ」(2026年9月1日)。

なぜ移管するのか — 両社の説明

パナソニック側:投資の優先順位を電気設備・デジタルに寄せる

PEWは、電動工具事業のさらなる成長には「継続的な投資とグローバルな顧客プラットフォームの強化が不可欠」としたうえで、自社は電気設備とデジタル技術を核としたソリューション事業に注力しているため、必要な規模・スピードでの投資を続けることが難しいと説明しています。そのうえで、グローバルの顧客基盤・販売サービス網・商材を持つマキタと技術を融合することが「最善の道」と判断した、としています。

マキタ側:工場向け市場への本格参入

マキタは対象事業について、工場向け締付機器分野におけるトルク制御技術とIoTを活用したデータ管理ソリューションに強みがあると評価しています。自社のバッテリー・モーター技術と組み合わせ、工場向け市場への本格参入と高付加価値ソリューションの創出を狙うという説明です。マキタの主戦場は建築・建設市場なので、重複の少ない領域を買い足す構図といえます。

パナソニック電動工具 45年の歩み

図2|パナソニック電動工具 45年の主な歩み
1979日本初※の充電式電動工具を発売 2004インパクトドライバに業界初※ブラシレスモータ搭載 2008トルク制御機能付きインパクトドライバを発売 2021トルク計測インパクトレンチを発売 2026マキタへの事業移管を公表(3月31日) ※いずれもパナソニック公式リリースの記載(2026年3月現在・同社調べ)。 出典:パナソニック「電動工具事業の事業移管について」(2026年3月31日)

1979年の設立以来45年以上にわたり事業を続けてきたこと、日本初の充電式電動工具から始まり、ブラシレスモータやトルク制御・トルク計測といった独自技術を積み上げてきたことは、PEWのリリースに明記されています。近年は電気工事市場に加え、組立製造工場ライン市場への本格参入を進めていました。

いまパナソニックの工具を使っている人はどうなる?

結論から言うと、使う側の手続きとして「変わったこと」はありません。パナソニックの電動工具サイトは移管完了後も通常どおり稼働しており、製品情報・お客様サポート・全国のサービス網案内・生産終了品一覧・互換性検索も従来どおり提供されています(2026年9月6日確認)。

ただし裏側では2つ変わりました。ひとつは対象製品の製造を株式会社マキタ・インダストリアルツールズが担うようになったこと。もうひとつが、この記事で最も見落とされやすい点です——事業移管期間中、マキタ・インダストリアルツールズはパナソニック ホールディングスからライセンス許諾を受けて「Panasonic」ブランドを継続使用します。つまり店頭やECで見かける Panasonic ロゴの電動工具は、移管後もしばらくそのまま並びます。いずれも、パナソニックの電動工具サイトに掲示された「電動工具事業譲渡のご案内」に明記されています(2026年9月6日確認)。

一方で、移管後のことは両社とも公表していません。ネット上には「サポートが打ち切られる」「ブランドが消える」といった見立ても見かけますが、それらは公式発表に基づく情報ではありません。当サイトでは推測を断定として書かない方針のため、現時点で確認できる事実のみを以下に整理します。

⚠ ここは「まだ決まっていない」(公式発表なし)
  • 移管後の保証・修理受付の窓口がどこになるか
  • 電池パック・充電器(EZ9L54/EZ9L53/EZ0L81 など)の供給がいつまで続くか
  • 「パナソニック」ブランドで販売が継続されるかどうか
  • 既存製品の補修部品の供給期間
  • ただし、資産・契約・従業員が承継会社へ移管されることはPEWリリースに明記されており、機能ごと引き継がれる可能性はあります(確定情報ではありません)

これからパナソニックの工具を買っていい? 3つの判断軸

① いま現場で必要なら、買って問題ない

2026年9月6日時点で新品は通常流通しており、メーカー保証も通常どおりです。移管は完了しましたが「事業ごと引き継ぐ」スキームで、製造はマキタ・インダストリアルツールズが担い、Panasonicブランドもライセンスで継続使用されます。製品ラインが即日消えるわけではありません。目の前の作業に必要なら、待つ理由は薄いといえます。

② これから「電池資産」を積み上げるかは慎重に

パナソニックのバッテリーは独自規格で、マキタ・HiKOKI・ボッシュなど他社製とは互換性がありません。今後10年単位で同じ電池プラットフォームに本体を買い足していく前提なら、電池・充電器の供給方針が公表されるまで様子を見る、という判断も合理的です。逆に「1〜2台で完結」なら影響は小さくなります。

③ 他社で置き換えにくい強みがあるかで決める

たとえばフラッグシップの EZ1PD1 はヘッド長98mm(業界最短クラス)で、間柱のあいだや配管まわりといった狭所の取り回しに強みがあります。この種の「代替が効きにくい形」が必要な作業を持っているなら、供給が読めるうちに確保しておく価値はあります。

図3|3つの判断軸チェックリスト(2026年9月6日時点)
1
いま現場で必要か
はい → 買ってよい。新品は通常流通、メーカー保証も通常どおり。移管は「事業ごと引き継ぐ」形で使用を制限する発表は無い
2
これから電池資産を積み上げるか
はい → 慎重に。14.4V/18Vデュアルは独自規格でマキタ・HiKOKI・ボッシュと非互換。10年単位で増やすなら移管後の規格方針が未開示である点が効く
3
他社で置き換えにくい強みがあるか
はい → 買ってよい。例:EZ1PD1のヘッド長98mm(業界最短クラス)。間柱のあいだや配管まわりなど、長さで仕事が決まる用途は代替が効かない
⚠ 1と3が「はい」なら購入可、2だけが「はい」なら保留。保証・修理窓口・電池規格・ブランド名の4点は移管後の方針が未発表のため、長期前提の判断材料にはできない

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マキタ・HiKOKIと比較して選びたいなら

パナソニックを軸にするか、マキタ/HiKOKIへ寄せるかで迷っている場合は、同クラスの実機スペックを並べて見るのが早道です。当サイトの以下のページで、3社のフラッグシップを同じ項目で比較しています。

よくある質問

Q. 移管はもう完了していますか?

A. はい。2026年9月1日に完了しました。パナソニック エレクトリックワークスが2026年4月に新設した承継会社へ資産・契約・従業員を移管し、その発行済株式の全てがマキタへ譲渡されています。海外のパナソニックグループ関係会社が持っていた製造・販売機能の一部も、同時にマキタの関係会社へ移りました。承継会社は同日「株式会社マキタ・インダストリアルツールズ」へ商号変更しています。

Q. パナソニックの電動工具は買えなくなりますか?

A. 販売終了に関する公式発表はありません。2026年9月6日時点で製品ラインは通常どおり案内されています。移管はブランドや製品の廃止ではなく、事業の運営主体がマキタ側へ移ったという位置づけです。

Q. 移管後、マキタのバッテリーがパナソニックの工具で使えるようになりますか?

A. そうした発表はありません。現行製品のバッテリー互換性は独自規格のままで、変更を示す公式情報は出ていません。

Q. 対象は工場向けの製品だけですか?

A. マキタのリリースは対象事業を「パワーツール製品(工場および建築向け締付機器、工場関連IoTソリューション等)の開発・製造・販売」と記載しています。パナソニック側はリリースのタイトルを「電動工具事業の事業移管について」としており、電動工具事業として移管する旨を発表しています。

まとめ

決まっているのは「マキタが承継会社の全株式を取得し、2026年度中に新体制で事業を始める」ところまで。ユーザー側の実務に直結する保証・修理・電池供給の個別の扱いは、移管完了後もまだどちらの会社からもアナウンスされていません。いま必要な工具は普通に買ってよく、電池プラットフォームへの長期投資だけは続報を待つ——というのが、移管完了直後の2026年9月6日時点で取れる現実的な立ち位置です。続報が出しだい本ページを更新します。

事業を引き継いだ会社そのものの中身は、株式会社マキタ・インダストリアルツールズとはにまとめました。設立・所在地・6拠点と、製品ページや修理窓口が今どこにあるかを整理しています。

出典

  • パナソニック株式会社「電動工具事業の事業移管について」(2026年3月31日)news.panasonic.com
  • 株式会社マキタ「パナソニックグループのパワーツール事業の取得に関するお知らせ」(2026年3月31日)makita.co.jp
  • パナソニック株式会社「電動工具事業の事業移管手続き完了に関するお知らせ」(2026年9月1日)news.panasonic.com
  • パナソニック 電動工具 お客様サポート(2026年9月6日確認)www2.panasonic.biz
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この記事を書いた人

モノ図鑑編集部です。電動工具の型番スペックをメーカー公式情報で確認し、図鑑形式で比較できるよう整理しています。実務での使い勝手とバッテリー互換性を重視する編集方針です。

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