結論:M27以上の高力ボルトや鉄骨の本締めまで踏み込むならWR36DF(最大締付1,400N・m/最大ゆるめ2,100N・m)、M24までの締結が中心でコストを抑えたいならWR36DA(1,100N・m)です。両機とも36Vマルチボルト・四角ドライブ19mm・IP56で、実質的な差は「トルク上限」「電子制御(オートストップ/オートスロー)」「打撃数の設計」の3点に集約されます。
- ✓ 最大締付トルクは WR36DA 1,100N・m / WR36DF 1,400N・m(差は約27%)
- ✓ 高力ボルト対応上限は WR36DA が M24、WR36DF が M27
- ✓ WR36DF のみオートストップ(正転)/オートスロー(逆転)とアプリ調整に対応
- ✓ 質量差は0.1kg(3.8kg/3.9kg)、先端は両機とも四角ドライブ19mmで共通
本ページの数値は2026年7月29日時点のHiKOKI公式製品ページ公表値です。仕様は予告なく変更される場合があります。
スペック比較表(HiKOKI公式公表値)
| 項目 | WR36DA | WR36DF |
|---|---|---|
| 電圧 | 36V(マルチボルト) | 36V(マルチボルト) |
| 最大締付トルク | 1,100N・m(112.2kgf・m) | 1,400N・m(14,286kgf・cm) |
| 最大ゆるめトルク | 公表なし | 2,100N・m |
| 締付能力(普通ボルト) | M12〜M30 | M12〜M36 |
| 締付能力(高力ボルト) | M10〜M24 | M10〜M27 |
| 先端形状 | 四角ドライブ19mm | 四角ドライブ19mm |
| 無負荷回転数(最大) | 0〜1,500min-1 | 0〜1,500min-1 |
| 打撃数(最大) | 0〜2,900min-1 | 0〜2,600min-1 |
| モード段数 | 4段(弱1/弱2/中/強) | 4段+カスタマイズ(アプリ) |
| 機体寸法(全長×高さ×センタハイト) | 221×292×42mm | 221×290×42mm |
| 質量(蓄電池装着時) | 3.8kg | 3.9kg |
| 振動3軸合成値 | 15.4m/s2 | 17.7m/s2 |
| 付属蓄電池 | BSL36A18X×2(2XPZ) | BSL36A18BX×2(2XPSZ・Bluetooth) |
| 防じん・耐水 | IP56 | IP56 |
| 希望小売価格(税別・本体のみNN) | 56,000円 | 57,100円 |
| 希望小売価格(税別・電池2個セット) | 115,500円(2XPZ) | 115,800円(2XPSZ) |
トルク差はどこに効くか:M24とM27の境界
両機の性格を決めているのは、締付能力の上限です。WR36DAは高力ボルトM10〜M24、WR36DFはM10〜M27。M27の高力ボルトを締める必要があるかどうかが、選択の第一の分岐点になります。普通ボルトでもWR36DAはM30まで、WR36DFはM36までと差があります。
HiKOKIはWR36DAについて、1,800N・mで締め付けられたM30(F10T)高力ボルトを約4.6秒でゆるめられるとし、AC100V機WR25SE(約4.7秒)と同等の作業時間としています。一方WR36DFは最大ゆるめトルク2,100N・mを公表しており、固着したボルトの取り外し用途では明確に上位です。
電子制御機能の差:WR36DFのオートストップとオートスロー
WR36DFの実務上の価値は、トルクそのものよりも電子制御にあります。正転側のオートストップは打撃開始後1.2秒で自動停止し、締め過ぎを防ぎます。逆転側のオートスローは、ボルトのゆるみを検知した後に一時停止してから350min-1で再起動し、ナットの脱落を抑えます。HiKOKI TOOLSアプリとBluetooth蓄電池を組み合わせると、回転数(600/900/1,200/1,500min-1)とオートストップ時間(0.1〜10秒)を作業ごとに設定できます。
WR36DAは打撃力4段切替(弱1/弱2/中/強)を備え、弱1は普通自動車のメンテナンスや足場取付け、強は鉄骨継手の組立や重機・農機具のメンテナンスといった用途がHiKOKIから示されています。アプリ連携や自動停止は持たない代わりに、打撃数は最大2,900min-1とWR36DF(2,600min-1)を上回り、同クラスの締結では回転の立ち上がりが軽快です。
1充電あたりの作業量
公式が示す目安は測定条件が異なるため単純比較はできませんが、参考値は次の通りです。WR36DAはBSL36A18X使用時、M24×80(F10T)を締付け時間3秒で約95本。WR36DFは2.5Ah(マルチボルト)で、M27×90(F10T)1.8秒なら約160本、M24×85(F10T)1.2秒なら約250本です。
WR36DA・WR36DFはいずれもマルチボルト蓄電池(残量表示付)専用です。付属はWR36DAがBSL36A18X、WR36DFがBluetooth対応のBSL36A18BX。充電器はどちらもUC18YDL2(冷却機能付)で、WR36DAは約25分、WR36DFは約19分(実用充電)/約25分(満充電)です。
従来の蓄電池(BSL3620/3625/3626/3660およびBSL18XX・BSL14XXシリーズ)は使用できません。
- 先端は四角ドライブ19mm。差込角12.7mmのソケットはそのままでは使えません(12.7mmが必要ならWR36DE/WR36DHクラスを検討)。
- いずれもソケットは別売です。本体のみのNNセットは蓄電池・充電器も付属しません。
- IP56は防じん・耐水の保護等級であり、故障しないことを保証するものではありません。蓄電池側の防じん・耐水は保証対象外です。
- WR36DFのアプリ設定にはBluetooth蓄電池が必要です。標準の蓄電池では調整機能を使えません。
- 3.8〜3.9kgと重量級です。長時間の頭上作業や狭所では、より軽量な機種のほうが総合的に速い場合があります。
用途別のおすすめ
WR36DAが向くケース:高力ボルトM24までの締結が中心。鉄骨継手の組立、重機・農機具のメンテナンス、解体作業。アプリ連携は不要で、打撃の速さと本体価格を重視する場合。
WR36DFが向くケース:M27高力ボルト・M36普通ボルトまで扱う。固着したボルトのゆるめ作業が多い。締め過ぎを避けたい仮締め作業や、作業ごとにトルク設定を変えたい現場。
購入先・価格の確認
いずれも実売価格は販売店・セット構成(NN/2XPZ/2XPSZ)で大きく変わります。型番とセット記号を確認してから購入してください。
よくある質問
WR36DAとWR36DFはどちらが強い?
最大締付トルクはWR36DFが1,400N・m、WR36DAが1,100N・mでWR36DFが上です。さらにWR36DFは最大ゆるめトルク2,100N・mを公表しており、締まったボルトの取り外しでも余力があります。
対応できるボルトサイズはどう違う?
HiKOKI公式の締付能力は、WR36DAが普通ボルトM12〜M30・高力ボルトM10〜M24、WR36DFが普通ボルトM12〜M36・高力ボルトM10〜M27です。M27以上の高力ボルトを扱うならWR36DFが必要です。
ソケットは共通で使える?
どちらも先端形状は四角ドライブ19mmのため、19mm角のインパクト用ソケットを共用できます。差込角12.7mmのソケットはそのままでは装着できません。
バッテリーは同じものが使える?
どちらもマルチボルト蓄電池(残量表示付)に対応します。付属はWR36DAがBSL36A18X、WR36DFがBluetooth対応のBSL36A18BXです。WR36DFのアプリ設定機能を使う場合はBluetooth蓄電池が必要です。
WR36DFのオートストップ・オートスローとは?
オートストップは正転時に設定時間で自動停止して締め過ぎを防ぐ機能、オートスローは逆転(ゆるめ)時に自動で減速・一時停止してナットの脱落を抑える補助機能です。HiKOKI TOOLSアプリで0.1〜10秒の範囲に調整できます。
関連ページ
▶ 図鑑ページ: HiKOKI WR36DA|36Vマルチボルト コードレスインパクトレンチ スペック・特徴
▶ 図鑑ページ: HiKOKI WR36DF|36Vマルチボルト コードレスインパクトレンチ スペック・特徴
▶ 比較データ: HiKOKI WR36DE vs WR36DH|36Vマルチボルト コードレスインパクトレンチ徹底比較
▶ 選び方ガイド: インパクトレンチの選び方|動力源・トルク・差込角を用途別に整理
▶ 全体ガイド: 電動工具の選び方 完全ガイド
出典
HiKOKI(工機ホールディングス)公式製品ページ / コードレスインパクトレンチ WR36DA・コードレスインパクトレンチ WR36DF(2026年7月29日確認)
